「球磨川川辺川流域でダムが無くなりつつある理由」

先日、熊本県で行われた川辺川住民団体による新年会で採択されたアピール文を、某MLから転載します。*1
球磨川川辺川流域でダムが無くなりつつある理由」が、胸を打ちます。


新春アピール




 私たち、球磨川川辺川の流域住民はこれまでダムによらない治水対策、ダムによらない身の丈にあった利水事業、そしてダム問題に翻弄されてきた、五木・相良両村の再生を求めてきました。


 昨年、私たちの清流を取り戻す闘いは、大きく前進しました。すなわち、五木ダム問題では昨年12月、熊本県は中止することを正式に表明しました。また荒瀬ダム撤去問題では、不足しているとされていた撤去費用の手当ての目処が立ち、今年からいよいよ大規模ダムでは全国初の撤去工事が始まります。さらに、水利権の期限が 2014年に切れる瀬戸石ダム問題では、撤去に向け、漁民を始めとする住民の闘いが始まっています。


 しかし一方で、行政はいまだにダム建設を推し進めようとしています。立野ダム問題では、国土交通省は治水対策を流域自治体と検討するそぶりを見せながら、実質はダム案を押し付けようとしています。


 天草の路木ダム問題においては、治水でも利水でもダムを作る理由は、ことごとく失われているにも関わらず、熊本県は建設を強行し、天草の宝といえる清流・路木川や希少生物の宝庫・羊角湾を破壊しようとしています。


 全国的に見ても、ダム中止という政策に切り替わった訳ではありません。現在でも、全国各地で住民の反対をよそに、ダム建設は推し進められています。また八ッ場ダム事業の再開問題に見られるように民主党政権は、「コンクリートから人へ」に象徴される政権公約自体を放棄してしまいました。もはや政権党であってもダムを中止することはできないということが明らかになったのです。


 私たちが見なければならないのは、球磨川川辺川流域でダムが無くなりつつある理由は、ひとえにダムを望まない住民がそこに生活し、ダムを無くすために立ち上がったという、そのことです。頼るのは他者の力ではありません。川を守り未来を切り開くことが出来るのは、清流を愛する私たちの心と行動だけなのです。


 2012年はダムを推進・復活させようとする勢力との全面対決が予想されます。私たちは個別のダム問題で勝利するとともに、全国のダムに反対する住民とともにダム建設を中止する特別措置法の法制化を実現させてこの闘争に勝利することを宣言します。




2012年1月7日 川辺川住民団体による新年会参加者一同

*1:「アピール」なので転載OKと判断。