「発電」という「目的」

震災以来、再生可能エネルギーって言うのかな、小水力発電みたいなのがトレンドです。
おおむね前よりはいい傾向なのかもしれません。メガソーラーとか、わけわかんない事業もたくさんありますが、まあそれも過渡期として。
が、「発電」が、変な錦の御旗になりかねない、と思ってしまうわけですよ。こういう記事を見ると。

 木曽郡南木曽町は14日、国土交通省多治見砂防国道事務所(岐阜県多治見市)と、町内の砂防ダムを活用した小水力発電に関する協定を結んだ。2012年度に発電所や送電線などを設置し、13年度には稼働の予定。小水力発電施設を土砂流出の多い渓流に設置する際の、維持管理の問題点などを探る実証実験をするのが目的だ。同事務所によると、国と地方自治体が協力して小水力発電事業を進めるのは全国初という。
 砂防ダムは、南木曽小学校脇を流れる梨子沢(なしざわ)の約400メートル上流にある。計画では、直径20センチの導水管を設置し、砂防ダムから取水して下流に設ける小水力発電所に送る。約20メートルの落差を生かして水車を回し、発電する。
 最大出力は4・6キロワット。一般家庭11世帯で消費する電力量を発電できるという。電力は土石流監視用のカメラに使うほか、発電所から送電線を延ばし、南木曽小学校の街灯や周辺の公共施設で使うことを検討している。
 この日は町役場で調印式があり、宮川正光町長と今井一之所長が協定書に署名した。協定では、国が発電所や導水管、送電線などの設置費用を負担し、電力を無料で供給することなどを定めている。
 宮川町長は「砂防ダムの価値を高める事業だ」。今井所長は「この事業がモデルになって砂防ダムを活用した小水力発電が広まることを期待したい」と話した。
(2012年3月15日/信濃毎日新聞/信毎Webより)


「この事業がモデルになって砂防ダムを活用した小水力発電が広まることを期待したい」という言葉がおそろしい。
砂防ダムや小さな堰堤も含め、利水や治水、治山その他がダムの存在理由として弱まった場合、今度は「発電」を加えれば、俄然有利になるんですもんね。
原子力よりいいでしょう、と。


逆に、かつてダムが環境によろしくないと述べた某論文の中に、「原子力などを安全に活用し」みたいなことが書いてあったのも、思い出しました。


ビジョンを描くって難しいですねと、ほとんど未来のない身で思うのでした。