進歩ということ

官僚にやさしそうな方が次期総理大臣になると決まった今日、*1 タイミングよく、関東甲信越NHKでこんなニュースが流れました(ネットにニュースがまだ出てないので、記憶に頼って書いてます)。

八ッ場ダムの検討会が開かれ、他の治水方法に比べてダムは1000億円ほどお得だという試算が出た。利水面でも、他から水を引いてくると新たな工事が必要になり、地権者と交渉しなくちゃならなくなるし、やっぱりダムがベストだねと、関係自治体の担当者全員が言った。


これで住民の方々が推進を望んでいるとなれば、中止するのはますます困難になりそうです。


ところで今日だんさんはお休みで、地元の友人とともに、秋田の川へ釣りに行ってました。
帰り道に電話があって、尺上を含むたくさんの魚が釣れたそうです。
実はこの川にも、ダム建設中です。反対運動もありますが、工事は粛々と進んでいて、訪れるたびに景色が変わっているそうです。*2


だんさんは基本無口で、ダムや堤防がどうしたこうしたという話を自分から進んですることはありません。
しかし、釣り人として、「前より良くなった川なんか、一つもない」と、ぼそっと言うことがあります。
堰堤だらけになる、川床が砂で埋まる、虫がいなくなる、居付きの魚が減る…。
東北中心に300以上の川を見てきて、そう思うらしいです。まあ、一度しか行ってない川もたくさんあるでしょうが。


あれはどこの川だったか、山の中の、10〜20メートルおきに堰堤があるような川でした。雨の日で、釣りになる川を探していて、たまたま地元の人に会い、少し話を聞いたことがあります。
ゴールデンウイーク頃、堰堤ごとに魚を放流しては、釣り人が来て抜いていく。その後は魚のいない川になる、とのこと。
「釣り堀ですね」
「昔はこんなんじゃなかったんだけどな。もう今はクマも来ねえ」
地元の人は、本当にさみしそうでした。


治水のため、利水のため。いろいろな目的が設定されて、ダムや堤防が造られます。
しばらくはその目的はかなえられたように見えるでしょう。けれど、長い目で見て、川は決して良くはならないみたいです。


進歩って何でしょう。
きれいな道路や、立派な家や施設、いい就職先ができて、お金がたくさん手に入ることだと、みんな思ってきたんですよね、きっと。
人が経済のことばでしか物を見なくなって、ずいぶん長い時間がたったと思います。それは進歩だったのかどうか、このごろはわからなくなってきました。

*1:この日記は29日深夜に書いてます。

*2:本体工事は未着手、付替道路や橋の工事だけが進んでいるようです。