料理べたのネタ本

相変わらず主婦としてはシロウトな自分です。その上大雑把なので、料理と言っても、本を見ながら何が何グラム…とか絶対無理。
それでも自分の食生活の基本になったような本が、何冊かあります。その中のひとつはこれ。





ほかでも書いたことがあるのですが、我が母は料理が下手でした。塩数の子に熱湯をかけた悲惨な経験もあります(見た目がかなりキモかったらしいです)。
リタイアしてからは余裕ができて工夫してるようですが、当時は激務に追われてましたから、まあ仕方ありません。


私の面倒をみていた祖母が亡くなった後、二人暮らしになって、さすがにこれではまずいと思ったのでしょう。こんな本を買ってくれました。私が中学生の頃です。
私の持ってるのは古い版で(何年のかは秘密)、『かあさんの味』『続かあさんの味』と2冊になってますが、ベターホームだから、たぶんこれだと思います。
内容は時代に合わせて改訂されてるかもしれませんね。


我が母のすごいところは、この本で自分が勉強するんじゃなく、好奇心旺盛な年頃の娘に与えて、自然と料理するように仕向けたところです。
なかなかの策士です。


母の狙いは見事に当たり、娘は本に載っている料理を作り始めました。
さらに母は、正直ひどい出来だった娘の料理を、ほめ続けました。
結果、娘はその年から今にいたるまで、毎年おせちを作るまでになりました。最初は本を見ながら、今では相当に手抜きしながら。


ところでおせちってなぜか今時は人気がないようです(我が母や姑、だんさんは大好きですが)。
おせちは日本の伝統的なお惣菜のエキスで、日本の風土に合うはず。自分の好みに合わせて作れば、おいしくないわけはないんだけどな。
そもそも現代人、飽きるほどに毎日、伝統的なお惣菜を食べてるんでしょうか。


あと、おせちを作れると、たいていの日本の食材の取り扱いに困ることがなくなり、「うちのお惣菜」ができるようになります(うまい下手は別としてね)。
「うちのお惣菜」という基本があれば、よその地方、よその国の食べ物を取り入れるときも、理解が楽みたいです。


この本に載ってる料理は、「いわしの辛煮」「さといもの含め煮」「きんぴらごぼう」「柿なます」「栗ごはん」「冷やっこ」「菊花かぶ」「せりのごまあえ」「さくらもち」・・・といった地味なラインナップ。
そのほか、酒のさかな、各種保存食、ぬか床の取り扱い、だしのとり方、味噌汁の実の取り合わせ例、野菜の切り方、野菜のゆで方、魚のさばき方、乾物のもどし方、調味料の買い方と使い方、年中行事と食べ物、なども載ってます。


ごく普通の冷やっこの作り方なんて、ほかで見たことありません。面白いので引用してみます。
もちろんこのとおりは作りませんよ。これは昔の、にがりのえぐみや豆のにおいの立った豆腐、ツンケンとアクの強いネギがあった頃の作り方かと思います。現代の豆腐なら、まずそのままでおいしいでしょう。
しかし、手をかけるときはこうするのだと知っているのといないのとでは、なんとなく違うかな、と思っています。

【冷やっこの作り方】

  1. なべに、たっぷりの水ととうふをいれ、塩一つまみを加えて火にかけます。とうふが浮き上がってきたら火を弱めて、煮たてないように二、三分熱を加え、中まで火をとおします(グラグラ煮たてると、とうふにすがたって、まずくなります)。すぐに冷たい水に入れ、よく水をとりかえて冷やします。
  2. ねぎは小口からこまかくきざんで水にさらし、水気をしぼります。しょうがはおろします。
  3. とうふをやっこに切って器に入れ、冷たい水をはって氷片を浮かせ、とうふの上に青じそをおいて薬味をのせます。


(つけじょうゆは、しょうゆとみりんを合わせ、けずりかつおを入れて煮たてた土佐じょうゆにするか、しょうゆにごく少量の酒を加えてけずりかつおをそえる。)