よその国のこと

ハンガリーのアルミニウム精錬工場の廃液貯水池の堤防が決壊した」と今日のニュースで知りました。以下は AlJazeeraEnglish が YouTube で配信したニュース。



この濁流が「アルミニウム精錬工場の廃液」です。
化学は苦手ですからその機序はあやふやですが、鉱物を精錬する過程や、廃鉱山からは、確か強い酸やアルカリ、有害物質を含む廃液が出るものと記憶しています。
ハンガリーの赤い廃液も、おそらく強い酸性かアルカリ性なのでしょう。化学やけどをした人が映っていました。


東欧の、遠い国の話だけに、ニュースの扱いもさほど重くなかったようです。
けれど、私は怖かったです。なにせ土と水を、広範囲に、激しく汚染するものです。鉱物による汚染の怖さは、イタイイタイ病水俣病の歴史を見ればわかります。
決壊は一瞬ですが、影響は長く続き、回復にはかなりの時間がかかるでしょう。


日本は大丈夫なんでしょうか。「精錬工場の廃液貯水池」なんてどこにあるのやらないのやら知りませんが、真っ先に思い出したのは「廃鉱山の廃滓堆積場」でした。



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地図中央が神岡鉱山の廃滓堆積場です(鉱滓ダムとも言います)。町と比べるとその広さがわかると思います。ほかに足尾鉱山、明延鉱山にも同様のものがあるそうです(Wikipedia「鉱滓ダム」)。*1
日本でも決壊の例がないわけではないようです。Wikipediaには尾去沢鉱山と持越鉱山の記載がありますし、検索したところ、神岡鉱山でも1945(昭和20)年に鹿間堆積場が大決壊、1955(昭和30)年に和佐保堆積場が決壊・・・といった記録が見られます。


砂防ダムの話とも通じるのですが、国に力があるうちは、こういった近代化の負の遺産をもきちんと管理できるかもしれません。が、国力が弱ったとき、どういうことになるのか、それが心配です。
どんな対策がとられているのかみんな知らない、広く知らせるしくみさえない現状に、寒いものを感じます。
ソ連の国力が弱ったときにチェルノブイリ原発事故が起きたことを、忘れてはいけないと思うのです。

*1:鉱毒に関係するため池、という意味では、渡良瀬遊水池(地)も連想します。