イワナの謎を追う


動物生態学に基づき、北海道のアメマスとオショロコマを中心に、棲み分けや競争について考察…とか言うとカタイですが、生き生きとした好奇心でいっぱいの著者の人柄がにじみ出て、とても楽しい読み物になっています。
1984年初版の古い本ながら、まったく古さは感じません。


釣り人じゃなくても面白いですが、釣り人が読むと、一層面白いのではないかしら。
そうそう、アメマス系のイワナってそういう性格してるよね、ヤマメはこうよね、みたいな(著者も釣り人です)。


もう一つ、本書で初めて教えてもらったのですが、可児藤吉による川の構造解析(川がどんな形の組み合わせで成り立っているか)が、とてもエレガントです。こういう科学は美しい。
彼のような優れた研究者が若くして戦争で亡くなったとは、本当に惜しいです。