『東京日記』(リチャード・ブローティガン詩集)

このごろなんとなく『東京日記』を持ち歩いています。
東京日記』は、1976年5月に来日したブローティガンが、東京を題材に書いた詩集です。


ブローティガンって弱い人、どっちかっていうとダメな人で、その詩も人の心を鼓舞するようなものではありません。


この詩は以前にも引用したことがあります。前のは操作ミスで消してしまいました。




ロマンス




ぼくは十五秒間
日本のハエをみつめていた

はじめての日本のハエだ


かれは三井ビル広場の

赤いレンガの上にとまって
日の光をたのしんでいた


ぼくに見られているのも気にしないで
かれは顔の汚れをとっていた  おそらくそのあと


お昼を食べるデートの約束があったのだ
未来の花嫁、あるいはただの
いい友だちというのかもしれないけれど
美しいめすのハエと
三井ビル広場で
正午に