社会的共通資本としての川




自動車の社会的費用」の著者でもある宇沢氏と、河川工学博士の大熊氏が中心となり、複数の方々の川に対するさまざまなアプローチを、「社会的共通資本」という考え方を軸にまとめた本。


タイトルは地味だし、450ページ近くあるし、東京大学出版会だしで、さほど人気ないだろうと思ってたら、千代田図書館では予約待ちでした。すみません、おみそれしました。
この閉塞の時代に、こういう考え方で世の中をとらえ直したらどうだろうと、意外にたくさんの人が感じてるなら、なんだかちょっと嬉しいですね。


ちなみに執筆者は次の方々です。

宇沢弘文、蔵治光一郎、茂木愛一郎、石川幹子、大熊孝、関良基、中根周歩、高橋ユリカ、岡田幹治、嶋津暉之、高橋裕小野有五宮本博司、神野直彦 (敬称略・執筆順)

内容は確かにカタイですが、著者はいわゆる学者先生ばかりではないし、おもしろく読めると思います。川に少しでも関心のある方は読んで損はありません。
ただ、高いんですよこの本。5000円ぐらいするの。だから私も図書館で借りたんです。


余談ですが、「社会的共通資本」に関して、内田樹氏が「fiduciary について−年頭のことば」内田樹の研究室)で取り上げてらっしゃいました。2011年、今年の年頭のことばです。

(社会的共通資本の)受託者たりうること。それを市民的成熟の要件として私たちは自らに課すべきではないかと思う。


うん、そう言われても、さすがに凡人にはよくわからないですけど、まあ、昔から日本にある「さずかりもの」という言葉を使う場面に近い考え方かな、と思いました。