ゴミだけで済むか

この前の土日で山形へ行ってきました。釣りです。超渇水で厳しい状況でしたけど、それはそれで楽しかった。
日本全国に広がっているというナラ枯れ病の、一番ひどいところへ行ってしまったらしく、山の惨状に愕然としたりしました。ナラ枯れ病については、また別に書くかもしれません。


今日は川で見たゴミの話から。
行ったのは小さな渓流で、入渓地点から上流に人家がない。そのせいか、この川には釣りゴミや空き缶、煙草の吸殻の類は一切ありませんでした。拾ったのがレジ袋1枚だけというのは、悲しいことに私の行くような川ではましな方です。まあ、この手のものは、風に飛ばされたとか落としたのに気づかなかったとかの過失も考えられますね。


しかし、遡行の途中、ブルーシートを3枚も発見しました。人家もキャンプ場もないからには、出所は河川か林道の工事現場ぐらいしか考えられません。大水で流出したものが、そのままになっているのでしょう。半ば土に埋もれ、掘り返す道具もなし、また大物すぎるし、さすがに拾えませんでした。


ところがその後、上流へ進むにつれて、じわじわと目に付き始めたものがありました。

それはこんなもの。角がとれて礫岩(れきがん)にも見えますが、コンクリートの残骸です。わかりにくいですが、鉄筋も見えます。こういうものが、川の中や岸辺にゴロゴロ転がっているのです。護岸、堰堤などの構造物が壊れ、流されるまま放置されているのでしょう。
残念ながら、川ではこういうものをしばしば目にします。重量があって片付けるのにお金がかかる、いずれ石に還る・・・そんな理由で放置されているんでしょう。けれど、これは立派なゴミ、産業廃棄物だと思うのです。


さらに上流へ行くと、大きな砂防堰堤が現れます。人と比べると大きさがわかるかと思います。

ははあ、この堰堤以前にあった堰堤が壊れて、造り直したんだな。と思ったのですが、あとで国土地理院の地図を見たら、この地点にもさらに上流にも、堰堤はないことになっていました。だから、あのコンクリート残骸がどこから来たのかは不明です。


この堰堤、二段になっています。まず手前の丸石を積み上げたような部分、これらの石はコンクリートで固定されています。その上に25m四方ぐらいのプールがあり、その上にスリット式・穴あきの堰(ダム)があります。

いつもいつも思いますが、必要あってこういうものを造るなら、せめて醜くないものにしてもらいたい。人があまり来ないからといって、醜くてもいいという理由にはならないでしょう。
美醜はさておき、丸石の坂を上り、プールの縁から大堰堤を観察すると、スリットの内側のコンクリートは剥離し、ヒビも入っているようでした。大きな土石流を繰り返し受ければ、遠くないうちに決壊しそうな感じがしました。当然、素人判断です。


きちんと点検・補修していれば、堰堤・ダムの決壊なんてあり得ない、でしょうか。将来この国の経済状態がもっと悪くなり、点検・補修にかける予算が削られたらどうでしょう。上流からの土砂や流木をためにためた堰堤やダムが決壊したら、下流でどういうことが起きるでしょう。コンクリート残骸のゴミが散らばる程度では済まないと思います。


造ったものの残骸の始末さえつけられないだらしなさでは、大きな構造物の維持管理も推して知るべしです。
最低限必要なものを、美しさも含めた高い品質で造り、きちんと維持管理する。そういう方向にもっていかなくては、この国はいつまでたっても三流じゃないかと思うのです。


*この美しい渓流の先に、上記のゴミと堰堤があります。